拝啓
暑中お見舞いもうしあげます。むかしあるところに王さまがありました。
王さまというものは必ず過去の罪の、長いなが〜い鎖を引きずっているものと決まっております。自分が王冠を得るのに協力した封建貴族たちを彼はすでに退けています。彼はまず自分の敵を、ついで彼に味方した者たちを殺していったのでございます。自分の後を継ぐかもしれない人間や、自分の王冠を狙う(可能性のある)人間をつぎからつぎと流れ作業で処刑しました。
でも、そういう人間をひとりのこらず処刑できたわけではなかったのです。
やがて追放の地からひとりの若い王子が ---殺された者の息子か、孫か、あるいは弟かもしれない--- が帰って来て、犯された権利を取り帰えそうとする。
退けられた貴族たちが彼のまわりにぞくぞくと集まる。↓
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