Jun, 2000 << - INDEX - >>

1)インタビュー
 若いわたしの意見はニュートラルであり、だからこそ、わざとアイロニカルかシニカルに響く語を選んで話す。私の意見はニュートラルであり、あなたの内耳に響くそのシニシズムはあなた自身に由来するものに他ならない。いわゆる行間、いわゆる言外の意味、例えば、ある種の階級構造への当てはめなどは、あなたの側の構築にほかならない。(おめでたくも私は私の言葉が政治空間から免除されうると思っているのだ。)

2)風景
 建物は昔はさぞ壮観であったろうという感じ。連邦の全盛期にはKGBの要人が愛人を連れて来ていたりもしたのだろう。今はところどころ壁がはがれ落ちています。作りも装飾も立派だったろう頃の面影は残っているが、あくまでも残っているというにすぎない。それは痕跡のようなものであり、往時の栄光を力強く暗示してはいるものの、「暗示している」ということは、それ自身は暗示されている当のものではないことを意味します。
 行われているレースは馬車・橇競争である。若者は一人もいない。殆どが50代以上のおじさん、おじいさんばかりである。中に馬券売場がある。いちおう電光掲示板もある。
 払い戻し窓口でねばっている壮年の男がいる。
「なんべん考えても俺の予想は完璧だった。今だって完璧だ。間違ってるのはレース結果なんだ。」

3)そのこころは・・・
 通用しっこない。

4)でも、それでも、
 わたしの母はドイツ人で、私の生まれる72年まえに死にました。性別は男で、名前はフリードリッヒといいました。しかし、それも今となっては昔の話です。