May, 2000 << - INDEX - >>
犠牲者は「調教された」動物たちで、彼らは調教師らの許可の合図を待っていたために、火災から逃げ損ねてしまうのである。興奮して脱腸したゾウ、脱腸したカバ、脱腸した馬、ゴリラは逆上して走り回り、炎に囲まれてしまった。世界中から集められた脱腸した珍獣たちが全力疾走でぶつかり合い、ショックのあまり混乱の中で子供を生んでいるオランウータンがいた。ライオンたちは砂浜で咆哮を上げ、終いには恐慌に陥って互いに殺し愛をくりひろげる。だが、対岸のホテルの鈍感な観光客達はこれもまたアトラクションのひとつだと思ってバルコニーに肘をかけて眺めている。地元の新聞でさえ、翌日の夕刊になってはじめて事実を告げる。しかしそれさえもまた手の込んだ宣伝広告の一環のようである。
「悪魔は・・・明け方の海岸通りを咆哮をあげて走り、白眼を剥き、脇腹からは血を流し、脱腸し、たてがみは臭い煙をあげる・・・」云々。